4.222016
ドリプラX 世田谷区東玉川小学校様の声

東京ベーシック・ドリルの学習対応アプリ「ドリプラX」。その発起人である世田谷区立東玉川小学校・新村元校長に、構想から導入までの経緯を伺いました。
インタビュー:株式会社エスアイイー
東京ベーシック・ドリルとは、小学校1年生から4年生までの国語・算数・社会・理科の基礎的な学習内容及び知識を身に付けるためのドリル。東京都教育委員会が配布しています。
そのドリル学習専用プラットフォーム・ソフトウェア ドリプラXを、エスアイイーが開発しました。(開発元:株式会社エスアイイー 協力:インテル株式会社)
近々、高学年や中学生分も配布される予定とのこと。
そのドリル学習専用プラットフォーム・ソフトウェア ドリプラXを、エスアイイーが開発しました。(開発元:株式会社エスアイイー 協力:インテル株式会社)
近々、高学年や中学生分も配布される予定とのこと。
ドリプラXの構想を思いついたきっかけを教えてください。
ではどうすればいいかと考えた時に、こういうことは人間よりもマシンのほうが優れているですよね。つまり印刷ではなく、データベースを駆使してドリルを扱おうと考えたわけです。
紙からデジタルデータに置き代えることで、印刷の手間やコストを削減でき、そのぶんを子供たちと向き合う時間にまわすことができるのではないかと。
御校ではさっそく授業に取り入れ、徐々に成果も見え始めているというこのドリプラX。現バージョンでは意図的に機能を絞っていると聞きましたが。
そうではなく、間違えたところは何が違っていたのかを自分で検証できる。それでも分からないところは先生に聞く。友達にも相談してみる。そうやって人と人とのコミュニケーションの中から学びを得るということが、学校側としては一番教えていきたいところなので、むしろ人の介在する余地を残したアプリケーションのほうが都合がよかったんです。
学ぶ楽しみも得られるツールであることが、子供たちを自学自習に向わせるのに必要だと考えたわけですね。
人間だれしも、いろんな凸凹がありますから。その凹を補う努力をしている子を、笑わない子に育ってもらいたい。そんな環境が、このドリプラXによって生まれたらいいなという期待感もあります。
私は算数の授業を受け持っているのですが、進みの早い子がいれば、中には遅い子もいます。すると、先に進んだ生徒が、躓いている生徒を自発的に教えてくれるんですよ。その子は人に教えることで、自身の理解をさらに深めることができるでしょう。教えられた子も、よりしっかりと学ぶことができます。教育現場としては理想的な形が、ドリプラXを用いたことで見られるようになってきています。 新村校長計算力の高い子が、図形や空間認知が得意かというと、そうとは限りません。だから、凸の時に得意げになる必要もないし、凹の時に卑屈になる必要もないんですよ。そのことを子供のうちに学べるというのは、学力向上と同じくらい大きな意味があると思うんですよね。
タブレットを使った学習という目新しさも、子供たちをひきつける要因になっているのでしょうか?
要は、このドリプラXを通じて子供たちが、「自分で選択して学ぶ楽しさ」を体験できなきゃ駄目なんです。その点は、子供たちの反応はとても素直ですよ。たとえばある子は、タブレットに分度器を当てて角度を測っていました。最近のデジタル教科書なんかだと、分度器ツールがもともとついている場合が多い。でもドリプラXはそういった機能をあえて充実させていないぶん、子供たちは自分で工夫しながら学んでいくしかないんです。
自分で答え合わせをして、×だったところは何が間違っていたのかを自分で検証したり、友達や先生に聞いてみたりすることができる。そういう学びの循環を生み出せているところが、このドリプラXのすごくいいところだと思っています。
こうした新しいツールを導入するということに対して、先生方の反応はいかがでしたか?
まず、今までの教育の常識が通用しなくなってきている面があります。たとえば、子供はおとなしく座って授業を受けるもんだというのが常識だと思うじゃないですか。今はそれすら怪しいです。まあこれは極端な例ですが、10年、20年常識だとされてきたことに捉われすぎている先生は、上手くいかないこともあるのではないかと思います。そういう教育現場の背景もあって、うちの先生方は新しいものに貪欲なんですよ。とりあえず試してみたいという。 荒川主任先生は、魅力ある授業がしたいんです。子供たちの心をひきつけるためにはどうすればいいのか、教育の現場サイドは常に腐心しているんです。
現状で感じている、ドリプラXの課題はありますか?
あと、これから実験してみようと思っていることなんですが、動画を教材に取り入れてみようかと。たとえば体育の授業で、台上前転を教えるとします。先生方の中には体育が苦手な方もいますので、そこを動画と解説が補ってくれるようにできるといいんじゃないかなと。
これをさらに進めると、見知らぬ上手な人の動画ではなく、校内の体育が得意な子の動画にしてみたらどうだろうと思うんですね。そのほうが子供たちにとっても身近に感じられて嬉しいじゃないですか。
教材自体を、自分たちでアップデートしていきたいということですか。
いずれは、先生どうしがいい教材や指導方針を交換し合えるコミュニティーのようなものが発達していくといいですよね。 荒川主任大事なのは、子供の勉強するニーズを理解することなんだと思います。子供はやっぱりできるようになりたいと思っているし、友達と関わって勉強したり遊びたいと思っているし、そういう子供のニーズに応えていくという側面が、ドリプラXにもあるのではないかと思います。
ありがとうございました。
取材・撮影:株式会社エスアイイー